庇の家

施主がかつて住んでいた実家の北側に祖父の家があり、祖父亡き後は空き家となっていた。その空き家を取り壊し、新居を建てることとなった。実家との間には程よい広さの庭があり、道路から見ると庭の先の崖越しに山並みが見え開放感があった。その視線の抜けや風の流れを大切にしたいと考え、ほぼ同じ配置とした。

周辺住宅は2階より1階の方が大きく自然と下屋がつくられていた。要望を整理すると総2階がふさわしいと判断したが、屋根が重なる風景を引き継ぎ、1階の四周に庇を回した。前面道路は細く反対側には擁壁があるが、低い庇により圧迫感が軽減する。南には縁側をつくり、大きい庇を支える垂木は室内まで伸び、構造的に釣り合う。

内庇のような垂木の上には欄間があり、カーテンを閉めても垂木の間から光が漏れ、外を感じられる。外に開くというより、外部が内部に入り込む。垂木を登った先には階段と吹抜があり、空へと続く内向的な開放感がある。

実家との距離感を程よく保ち、風景の差異に引きずられない力強さをめざした。

所在地愛知県岡崎市
構造規模木造、2階建て
延床面積134㎡
構造設計ハシゴタカ建築設計事務所 髙見澤孝志
造園moss green ikkei
施工豊中建設
竣工2023年
写真ToLoLo studio
受賞第35回すまいる愛知住宅賞
名古屋市住宅供給公社理事長賞
愛知県森林協会長
掲載建築ジャーナル2023年11月号
architecurephoto

庇の家 お施主さまインタビュー

依頼するきっかけや決め手はどのようなものでしたか?

ホームページなど、インターネットのサイトの設計実績写真から依頼を決めました。

設計中の打ち合わせや提案については印象的なことはありますか?

第一種換気を検討して、コストにより見送りましたが、真摯に色々とご提案していただいたことが印象に残っています。

コストの調整の仕方はどのように感じましたか。予定金額におさまりましたか?

予定金額には収まってはいないですが、コストの調整は色々とやっていただいたと思っています。

工事中の現場監理について報告、トラブル、変更などは安心できるものでしたか?

はい、安心しておまかせできました。

実際に住んでみて、住み心地や気に入っている場所、設計段階では気づかなかった良い点などあれば教えてください。

特に玄関の扉(塗装、重厚感と鎌錠)が気に入っています。

逆に設計でこうすれば良かった点、進め方などでこうして欲しかった点があれば教えてください。

以前と最近の住宅仕様の変化について、図面を見た際に聞いておけば良かったと思いました。
また、断熱や照明の要求レベルの共有をしておけば良かったと思いました。
打ち合わせの事前に資料を送付して、目を通してもらえば良かったと思いました。

引き渡し後のアフターフォローはご満足いただけていますか?

満足しています。

当事務所の印象や特色などあれば教えてください。

質問など丁寧に回答をもらえた印象です。

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