







ご夫婦は職業柄、生活時間帯や休日が違い、お子さんの人数も関係性もまだわからない。さまざまなライフスタイルに対応するには、みんなが集まる大空間と閉じた個室ではなく、質の違う中くらいの部屋をいくつかつくり、家族のフェーズや季節に応じた選択肢をもたせることが望ましい。あるときはリビングになり、また別のときは寝室になるように。それらの部屋同士が互いに見え隠れするようにゆるやかにつながり、気配は感じるが、活動や休息を阻害しないような関係を目指した。
中庭に面した明るいリビングは天井高と開口高さを絞り込むことで落ち着きをもたせ、寝室は離れのように静かに佇み、敷地高低差を活かした1.5階のダイニングキッチンからは家全体が見渡せ、広くはない子供室は高い天井と大きな窓で開放的につくっている。これら多様な小空間が中庭や玄関ポーチといった外部を絡み取りながら、立体的なS字を描いてひとつのまとまりをつくっている。
職や住が渾然一体となった建築が、街に開くことで街が変わり、人が変わる。
所在地 | 愛知県名古屋市 |
---|---|
構造規模 | 木造、2階建て |
延床面積 | 124㎡ |
構造設計 | ハシゴタカ建築設計事務所 髙見澤孝志 |
造園 | 前田工務店 |
施工 | 誠和建設 |
竣工 | 2017年 |
写真 | 山内紀人 |
旭出の住宅 お施主さまインタビュー
依頼するきっかけや決め手はどのようなものでしたか?
私たち夫婦の友人である設計士に紹介してもらい、諸江さんとお会いすることになりました。
諸江さんとお会いする以前に、大手のハウスメーカー数社や別の設計事務所でもお話は伺っていましたが、どれも自分たちの希望に沿うところがなく、デザイン的にも満足できない状態の中で、諸江さんとお会いしました。
初めてお会いした際に自分たちの希望を伝え、その後諸江さんのプレゼンを伺い、デザインの良さや希望が叶えられていることに満足して、依頼をすることにしました。土地探しも同時期に行っており、土地選びのアドバイスをいただいたこともありがたかったです。
設計中の打ち合わせや提案については印象的なことはありますか。ご要望は反映されましたか?
印象的なことは、パースを多く用いて説明をしていただけたことです。私たち素人ですと設計図からだけではイメージしにくいところを、パースを多く使用することで空間のイメージがとてもしやすかったです。
また、当初のプレゼンにおける設計から大きな変更も希望しましたが、柔軟に対応していただき、私たちの希望を極力叶える提案をしていただいたことも感謝しています。
コストの調整の仕方はどのように感じましたか。予定金額におさまりましたか?
私たちは以前に大手のハウスメーカーともお話をした経験があるため、コストの調整の仕方に違いがあることを実感しました。大手のハウスメーカーでは基本的にコスト調整というより、最低金額で契約をして、その後の設計段階でだんだんと上積んでいくという形でしたが、諸江事務所ではある程度設計が固まってから工務店に見積もりを依頼して工事金額を概算で出し、そこからコストを削っていくというもので、こちらの方法のほうが自分たちの希望を叶えながら予定金額に収めていきやすいと感じました。
私たちの場合は、調整段階では予定金額を大幅に超えそうな状態でしたが、工務店の工期のタイミングや諸江さんのアドバイス等もあってうまくいき、結果として予定金額でおさめることができました。
工事中の現場監理について報告、トラブル、変更などは安心できるものでしたか?
工事中の大きなトラブルはなく、現場を見に行った際には快く受け入れてくださり、自分たちが気になる点も直接見ることができました。また、エアコンとの兼ね合いで照明の位置を変更することがありましたが、その際も現場で丁寧に説明していただいて納得のうえで変更ができました。
実際に住んでみて、住み心地や気に入っている場所、設計段階では気づかなかった良い点などあれば教えてください。
気に入っている点はなんといってもまずはデザインです。来訪される友人にもそのデザインについて褒められることが非常に多いです。ご近所の方にも、住宅とは思わず美容院などの店舗かと思ったなどとデザイン性の高さについて声をかけられることもあります。
中庭を眺められるリビングとタイル張りの浴室は特にお気に入りの場所となっています。また、デザイン性だけでなく実際の生活のしやすさも気に入っているところです。生活動線も併せて考えていただいたことが大きかったと思います。デザイン性の高い住宅だと住みづらいのではないかと考える方もいらっしゃると思いますが、デザイン性と実際の生活を両立させているところに諸江さんの設計の妙を感じています。
逆に設計でこうすれば良かった点、進め方などでこうして欲しかった点があれば教えてください。
大きな部分でこうすれば良かったというものはないですが、照明やコンセント、ガス口などの場所についてはもっと実際の生活を想定して考えられればより良かったと思います。新居に住む前は使っていない家電などでも新たに使う可能性が多々あるので、そういったことをより深く想定すると良かったと思います。また、毎日使うものや場所については、妥協せずに納得いくようにすると良かったと感じています。例えば、トイレの手洗い場の自動水栓や玄関扉のスマート化など、毎日使用するものについて特に感じています。
引き渡し後のアフターフォローはご満足いただけていますか。
多くの方がそうだと思いますが、自分たちで建てた初めての住宅なので、住んでいくうえでわからないことや困ったことも出てきます。その際は諸江さんに連絡することですぐにお返事をいただき、疑問や問題を解決できているので、安心して生活することができています。
当事務所の印象や特色などあれば教えてください。
建築家というと芸術家のようなイメージがあり、少し気難しかったり、話しづらかったりするのではないかとお考えの方もみえるかもしれませんが、諸江さんは非常に話しやすく、コミュニケーションを多くとってくださるので、施主の希望を汲みとって叶えてくれる方だと思います。
また、なんといってもデザイン性に優れていると思います。デザインと住み心地の両方を高い次元で叶えてくれる建築家さんです。