名古屋大学オークマ工作機械工学館

名古屋大学内におけるホールと実験室の計画である。
キャンパスを東⻄に結ぶ街路にさらに魅力をもたらすことが求められた。計画地に交差する二つの通りに対してヒンジとなるスペースをギャラリーとし、2階部分に接続する隣接棟のアクセス動線と繋げ、さらには屋上にも広場を作ることで、施設全体が立体的に交流する場とした。
また、計画地の三角形状と傾斜を活かし、講堂もオフセットした台形の形状とすることで、階段座席からステージへと集中する視線と安定した音環境をつくっている。
同様に、地階の大実験室も敷地の高低差と高い天井高を活かし、地階と外部の出入りと地上階のギャラリーからの見渡す見学を実現している。デザインは、周辺の高層棟に対する対比として、全体を低層に抑え、スラブを屋内と屋外を繋ぐ庇として、屋根と下屋のような隙間のある配置をくり返すことで、垂直⽅向に多くのレイヤーのある構成とし、隙間から庇の奥にも⾃然光を誘っている。
さらに、講堂のコンクリート壁は壁の質感にグラデーションを持たせ、もう一つの水平なレイヤーをつくり、積層する庇と質感のレイヤーが呼応し、内部の空間を周辺の環境と緩やかに繋げている。

所在地:愛知県名古屋市

構造規模:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨造、地下1階、地上2階

施工:松井建設

延床面積:1,486m2

竣工:2020年

備考:D.I.G Architects、佐々木勝敏建築設計事務所、東畑建築事務所と協働

受賞:中部建築賞

掲載:建築ジャーナル2023年11月号